去年、GEZANというバンドが大好きになった。見てしまう。そのバンドも詞とか音楽とかいいところは沢山あるのだけど、一番心をうたれているのは、一生懸命さというか、そんなに力を出してどうするのというくらいの一瞬への力の込め方だ。ボーカルが、キリキリに薄く切った時間の中に持っている力を全部流し込むようなときがある。ボーカルが、と書いたが、歌っているのはマヒトゥ・ザ・ピーポーという人で、これも大好きな七尾旅人が触れていて知った*1。マヒトはもともとソロで、とてもいい歌を歌っている。青葉市子とのユニットNUUAMMでも、とてもいい歌を歌っている。NUUAMMのときなんか、ちょっと子宮のなかというか暗い水に漂っているような声やギターを弾く。青葉市子にもある透明さ、浮遊感が、そのユニットではCDジャケットに描かれた双子のように、混ざり合っている。

マヒトはGEZANではソロのときと全然違う声を出す。高い声で、そこにある空間や時間を引き裂くような声だ。俺はステージの前にいて人とぶつかったり、体を揺らしたりしている。叫んでいる時、マヒトの顔が長い髪の間から覗く大きな石粒のようになり、真ん中にバカッと大きな口がひらく。そこは黒くて底がないように見える。演奏はライブハウスの中で、一つのかたまりのようにやってくる。

踊ってばかりの国との2マンや、江ノ島オッパーラでのライブ、自分が行ったライブでも素晴らしいライブがたくさんあった。好きな曲もビデオもたくさんあるが、今はアルバム録音を兼ねてアメリカツアーに行っているので、その動画を貼る。924GILMAN Streetでのライブだ。格好イイー!

*1:はじめ震災前くらいに知ったたとはじめ書いたのだが、事実誤認っぽいので消した。全然覚えていない。→更に追記。合っていそうだが、いつ知ったとかどうでもよいので、結局消すのが一番なのだった。間違いないのは今好きということだ