slack記事のつづき

震災後二回更新したが、その延長がまたあった。Sickteamがチャリティシングル逆境をitunes storeでリリース。3月20日の震災救援支援DOMMUNEPunpeeDJタイムにRAUDEF、PSG、s.l.a.c.k.が来てLIVE。

シングル「逆境」とドミューンLiveでの軽いフリースタイル両方でs.l.a.c.k.は日本、ジャパニーズという言葉を使っている。
but this is wayでは東京の人間としてラップをして、津波がテレビ越しに押し寄せる、それが日常へと侵入してくるという流れだった。"whats? good 眠るハニーの隣/夢でみたよな現実 サイレンがなり"から始まり""忘れてるなら彼女にキスしな/終わりじゃない、これからが始まり /愛すべき家族、仲間、日本の血"と締めた。僕はこの最後の着地を「いままでの彼にはありえない」と書いた。slackは常に「いまここ」の優位についてラップしていたように思う。最近はかなり変わってきたとはいえ、1st2ndと日常と日常をつづけなければいけないことについて歌い続けていた。*1。だがこの最後の部分でslackはいままで無かった、「いまここ」を超えたアイデンティティを獲得、というか認識したわけでそれはとても面白いと思う。その認識はあくまで彼が大事にしてきた「いまここ」、彼女とゴロゴロしているテレビ前からやって来たわけで、そこには当然必然性がある。そしてsickteamのラップでは、これまでメインだった日常のほうが逆に抜け落ちている。これだと今までの魅力とはちょっと違うという気もするのだが、最新作(3rd)でも変化を受け入れたいとうたっていたのでこれからどうなるのかな楽しみ、という感じ。

dommuneのLiveでは、マグニチュード13! なんていいながら楽しもうという態度と安心しろという姿勢も両方あって、地震と自然な距離感をとっていた。音が小さくなると素面に戻ってしまう感じも良かった。 S「ライトさもうちょっと暗くしようよ」P「ライトさもうちょっと暗くして。くださいスイマセン。ありがとざいます」っていうの面白かった。


坂口恭平punpeeをプロデューサーにしてアルバムつくりたい、と言ってたのはどうしたんだろう。その作品自体は正直そんな待ってはないけれど、坂口恭平本人は信用できると思っている。地震前に偶然原発問題も扱っていた彼は地震のあとすぐ熊本に飛んでいってしまったが、それはある社会を自明のものとして捉えないという坂口恭平のいままでの視点と矛盾しないしそれを批判するのは理解出来ない。

●最近いつもdommuneが記事に出てくる気がする。現場がネット経由でPCに漏れ出すと引きこもりに恩恵が降りてくる。去年二木信がラップをしたHIPHOPニュージェネレーションという番組で、環ROYがそんなフリースタイルをしていた。
このあとのpunpeeのDJみてくれ/マジでいけてるぜ、って/いねえやつには分かりません/だから来いよ現場/そりゃ現場?主義ばっかいってちゃ駄目だろう/ここから新しい電波送りまくってやるやるやる

*1:兄のpunpeeも「お隣さんより凡人」などで似た問題を歌っている。しかし彼の場合はもうワンクッションというか、フィクションを挟んだりすこし自虐をいれてくる照れがあるが弟のslackはそこについては全然揺るがない